2022年の幕開けと共に始まったGoodMoon全国路上ライブツアー2/47県目、鹿児島編。
1月6日〜15日までの10日間に及ぶツアーの記憶を皆さんにお届けしていこうと思います!
GoodMoon全国路上ライブツアー、鹿児島編
「先生あのね、先しゅうぼくは弟といっしょに、はじめてかごしまにライブをしに行きました。とってもたのしかったです。」
The END。
さすがにこれだとブーイングが起こる。
でも小学1年生が書きそうな日記は、至って簡潔で的を射ている。
それでいてちゃんと5W1Hで構成されている。
スバラシい。
なのに大人になった僕らはわざわざそれを細かく分解して、妙に凝った表現を試みる。
“大人ぶって〜生きてくんだぁ〜” ( Nonkey Kong In The Zoo by GoodMoon )
この「とってもたのしかったです。」に全てが要約されていると言っても過言ではないけど、34歳だしもうちょっと頑張ってみようよ。
前回の山梨ツアー同様、この旅の感動を読者の方々にもちゃんと届けたいし。
鹿児島と聞くとみんな何を思い浮かべるんだろう。
自分の場合最初にパッと思い浮かべたのがパノラマな自然だった。
実際僕らが最初にステイした横川と言う町には、360度どこを見渡しても本当に美しい自然が広がっていた。
丸岡公園から望む霧島連山。
街灯のない真っ暗闇で見る満天の星。
神秘的な火口湖、大浪の池、
エトセトラ。
それらの景色は本当にダイナミックで感動的だった。
ただ、今回の旅のテーマはそんな瞳が表面的に捉えたものだけではない気がしてる。
目には見えなかったけど、そこに在って、ツアー中幾度となくこの心を揺さぶった”モノ”は一体なんだったんだろう。
それこそがこの鹿児島ツアーのテーマになりそうだ。
2022年1月8日、土曜日。
鹿児島県霧島市にある大隈横川と言う県内最古の駅でのライブ当日。
100年以上の歴史を持つこの無人駅には、レトロな黒い車体の特急「はやとの風」が走る。
木造の駅舎は、アップライトピアノがあったりと、一見お洒落なカフェの様でもある。
駅前は広々としていて、改札を出た右側には遊歩道の通る小さな公園もある。
昨日、初めてここを訪れた時に地元の方がこう教えてくれた。
「ここでは毎年平和コンサートが開かれるんだよ。」
「え?」
実はこの駅の柱には第二次世界大戦中に機銃掃射で撃ち抜かれた痕跡が今も生々しく残っているのだ。
光と影。
激動の時代をたくましく生き抜いてきたこの駅は、横川の人々の誇りとなり、そしてきっと彼らの心を一つに繋ぐ存在なんだろう、と感じた。
午前10時半、会場入り。
宿泊している空き家からは車でたった30秒の距離。
(↓ちなみにこれがそのHotel A・Kiya)
駅前で出迎えてくれた手作りの大きな門松が、俺の脳内で今年二度目の除夜の鐘を鳴らす。
ゴ〜〜〜ン。
「明けましておめでとう!」
そうだった、そうだった、新年だった;ドタバタでそんなことすっかり忘れてたよ;
小雨の降る中、すでにキッチンカーが数台並び、なんだかフェスの様。
機材を車から下ろし、早速準備開始。
テキパキ。
ちなみにこの駅前コンサートは、既存のイベントに参加すると言うものではなく、ゼロから僕たちGoodMoonの為に企画して頂いたものなのだ。
今回鹿児島ツアーを全力でサポートしてくれた横川出身のファンの方が、僕らに大隅横川駅でのライブを提案してくれて、その方のご親族や役所の方々、そして横川の人々の熱き協力の下、今回のライブが実現したのだ。
まさに夢の様な話である。
どこぞの誰かもわからない僕らを、歓迎してくれる横川の人々の寛大さ。
本当に贅沢なことだし、感謝してもしきれない。
ならば最高の演奏をみんなに届けよう。
今日は老若男女問わず、幅広い層のオーディエンスが来てくれるとのことなので、なるべくバラエティーに富んだセットリスト作りを意識した。
駅前にはちらほらと人々が集まりだす。
薄く広がっていた雲の切れ間からは、青空が恥ずかしそうに顔を覗かせる。
準備完了。
さてと、横川でいっちょやらかすか!
【第一部 (11:45 – 12:30)】
1 Unicorn
2 Can’t stop
3 Cube
4 Once in a while
5 Nonkey kong in the zoo
6 Nono
7 Snake bite / Silent siren
午前11時45分、遂にライブスタート!!
「どうもこんばんは、GoodMoonです!!」
早速間違える。
”こんにちは”でもちょっとまだ早い気がするけど、確実に言えることは”こんばんは”ではない。
まずはロックなギターと二人のハーモニーのバランスの良い出だしの3曲で、会場に漂う緊張感をほぐしていく。
肺に流れ込む空気がいちいちうまい。
そして4曲目の「Once in a while」、通称「タラリラ」でグイッとオーディエンスとの距離を縮める。
このご時世みんなで大合唱できないのが悔しいが、その分みんな懸命に体を使って「楽しんでるよ〜」と表現してくれる。
サビのタラリラ〜の部分でオーディエンスのみんなが楽しそうに大きく腕を横に振る。
右、左、右、左。
朝、駅前、足並みを揃えて大きく腕を振る人々。
ロケーションと相まってなぜかそれが”ラジオ体操”に見えてくる。
みんな一生懸命盛り上げてくれているのに、なんと言うことを!笑
演奏後はそんな感じの冗談を交えたゆる〜いトークで笑いを誘う。
最後は「Snake bite / Silent siren」でバシッときめて第一部を終える。
まずは横川ピーポーと仲良くなることに成功したぞ!
次のセットまでの間、キッチンカーの美味しい薬膳スパイスカレー&リゾットとタコスを頂く。
うまい、うまい、いちいちうまい。
【第二部 (13:30 – 14:15)】
1 ツバメ返し
2 Once in a while
3 ここにないもの
4 大人の運動会
5 All in your head
6 Killing time
7 ペロレラレボリューション
第二部は久々にセットリストに返り咲いた「ツバメ返し」で幕を開ける。
この曲は、2012年の欧州遠征中に出来た曲で今年でちょうど10歳を迎える。
Happy Birth Day Bro!
後半に向けどんどん加速していくタイプの曲で、若かりし頃はこの曲のおかげで何度ライブ中に流血したことだろうか。笑
「筋トレするならツバメ返しを弾け!」と言うことわざがあるくらい、この曲は体全身で弾く、いわば体育会系楽曲なのである。
ただ今回は血を流すことなく無傷で演奏し終えることができた。笑
4曲目の「大人の運動会」もわりと流血系楽曲(笑)なのだが、この曲の醍醐味はその手拍子にある。
と言うのも、捻くれ者の兄弟はこの曲の制作時、意地でも普通の手拍子をさせたくないと言う理由でヘンテコなリズムの手拍子を開発したのだ。
既に習得してくれているファンも多いけど、初めましての方にはやはりややこしい。
時々、曲に入る前にみんなで手拍子の練習をするのだが、そこで
「ストップ、ストップ、グダグダやないかいっ!」
的なツッコミを入れて笑いを取るのが楽しみの一つ。(性格わるぅー!笑)
今日もいつも通りそうなるだろうと思っていた・・・
が、
うんたた・・った・・・た
えぇっっっつ?!
なぜか、何故だかわからないが9割方初めましてのオーディエンスからほぼパーフェクトな手拍子が返ってくる。
え、マジでなんで?
アタフタ。
本来喜ぶべきことなのに、動揺したのち、むしろ悔しさが込み上げてくる。笑
ならばと、負けず嫌いの俺らはオーディエンスに挑戦上を叩きつける。
Tomojiroにキックで4拍子を刻んでもらいながら、俺が即興でややこしいリズムの手拍子をする。
「これできますか?」
パンパパンパンパパンパンンパッ
(オーディエンス)
パンパパンパンパパンパンンパッ
「こ、これはどうですか?」
パパンパンパンパンパパパパパパパパパパンンパッ
(オーディエンス)
パパンパンパンパンパパパパパパパパパパンンパッ
「・・・ちょっとまって、えっと、えっと、これはどうですか?」
ンパッパッパパパンパンパパンパパン
(オーディエンス)
ンパッパッパパパンパンパパンパパン
・・・参りました。
GoodMoon完敗。笑
裏でリズムを取ったり、16分休符もふんだんに入れたのに。。。
どうやら横川、もしくは鹿児島の人々はリズム感がめちゃくちゃいいらしい!!
I don’t know why!!
ドラマーを探すなら是非鹿児島にケ!(さりげなく鹿児島弁)
何はともあれこの手拍子バトルでまた一歩オーディエンスのみんなと仲良くなれた。
第二部も後半に差し掛かった頃、ふと自分の顔の左半分がほてっていることに気づく。
日差しが暑い。
朝方はむしろ横川の方が寒く感じられるけど、お昼を過ぎるとやはり東京より幾分暑い。
小春日和と言えなくもない。
ガッツリと直射日光に焼かれてく左半分。
最後にペロレラ・レボリューションを演奏して第二部終了!
ライブ後、物販にはCDや缶バッチを求めて列ができる。
数年前から僕らのファンで今日は遠征して見に来てくれたと言う方もいたり、ハッピーボルテージが気温と共にどんどん上昇していく。
第三部 (14:45 – 15:30)
1 Snake bite / Silent siren
2 ツバメ返し
3 こわ風
4 Last tear of a dictator
5 太陽の血
6 Nono
7 記憶
8 乾杯
9 Once in a while
アンコール
10 Push the limits
第三部目ともなればだいぶ緊張感もほぐれ、いい感じに会場全体に一体感が生まれている。
泣いても笑ってもこれが大隅横川駅での最後のセット、カッコよくバシッと決めよう。
1、2曲とテンポ感よくタイトな演奏で攻めまくり、3曲目でガラッと雰囲気を変えてスムーズに「強風」。
そして4曲目で「Last tear of a dictator」。
遠征前、自然に囲まれた大隅横川駅をイメージした時に、リバーブのかかったこの曲がすごく似合いそうだね!と言う話になりセットリストに加えられた。
思った通りのどかな景色とマッチして、アルペジオが心地よく澄んだ空気に溶けてゆく。
5、6曲目は自分たちのこれまでの長きに渡る「音楽の旅」をテーマに作った楽曲。
どこまでも、この旅は続いてゆくよ〜 / 宝箱 掘り起こすより埋めるのさ 見つけてきた思い出詰めて〜」(Nono by GoodMoon)
まだ全国路上ライブツアーは始まったばかりだけど、いく先々で数え切れないほど沢山の素敵な出会いや感動を見つける。
この旅は誰かの埋めた宝箱を探しに行くものではなく、大きな空き箱に自分たちが各地で見つけた宝を詰め込んでいく、そんな旅なんだなとつくづく感じた。
8曲目、「乾杯」。
事前情報によると、長渕剛、通称”つよっさん”は鹿児島出身の方らしく、現地には根強いつよっさんファンが沢山いるとのことだったので、ちょうど成人式も近いのでカバーすることに。
下手に演奏したら暴動が起きかねない。笑
ばっちりリハーサルでハモリを合わせておいた二人。
ただ熱狂したつよっさんファンにマイクをハイジャックされる可能性もある、そう覚悟して歌ったが、終始みんなキラキラした笑顔で穏やかに僕らの演奏を見守ってくれた。
チェア〜ズ!
(このチェア〜ズに関してはまた次回何のことだか詳しく説明します。笑)
最後に三部連続で演奏した「タラリラ」でフィナーレを迎える。
先ほどのラジオ体操第一は、さらに激しさを増し、ここではラジオ体操第二に進化していた。
みんなで飛び跳ねたり、手拍子したり、フリースタイルでGo Go GO!
そして最後に定番のジャンプでジャーンジャカジャーンッ!
「どうもありがとう、GoodMoonでした!!」
パチパチパチ
無事に三部の演奏を終える。
よし、これで今夜も美味しく黒伊佐錦のお湯割を飲めるぞ!笑
と思いきや
アンコール アンコール
てっきりアンコールはないと思っていたので、慌ててギターのチューニングを戻しながら、急な思いつきで弟にミスチルの桜井さんの物真似をする様に促す。
桜井さん本人から電話がかかってきた的な、よく訳の分からないチープな演出を加える。
ミスチルの「Hero」を桜井エフェクターを噛ませて歌い始める弟。
そっくりやん!笑
会場からは歓声が上がる。
多分今回のライブでここが1番盛り上がったのではないだろうか。笑
その後桜井さんは、特急はやとの風に乗り去っていき、俺らは最後に「Push the limits」を演奏し三部に渡るロングセットを締めくくる。
このライブを一緒になって盛り上げてくれた皆さん、そしてイベントを実現する為に協力してくれた皆さん、本当にありがとう!!
左半分黒くなった俺の顔に吹くひんやりとした風。
気付けばもう夕暮れの時間。
お茶を販売していたキッチンカーの方が、最後にお汁粉をみんなに配ってくれた。
「え、いいんですか?」
心がじ〜んと温まる。
なんとなく、ここまでブログを書いて”目には見えなかったけどそこに在ったモノ”の正体に気づき始める。
その答え合わせをする前に、もう一つ話し忘れたリトルストーリーが。
この日、ライブの準備中にTomojiroがネジの壊れた持参のマイクスタンドをガムテープでなんとか固定しようと奮闘していると、地元の音楽をやられている方がマイクスタンドをさっと差し出してくれた。
困っている姿を見て彼はわざわざそれを家から持ってきてくれたらしい。
そしてライブ後に
「あのマイクスタンドは貰ってください、武道館かどこかで演奏する時にでも使ってもらえれば幸いです。」
との連絡を頂いた。
・・・。
いや、必ず東京ドームのステージのど真ん中で使わせて頂きます!!
もう答え合わせする必要もないかもしれないけど、この旅の間、目には見えなかったけど、ずっとそこに在って、この心を揺さぶり続けていたモノ。
わかった気がする。
それはいつか昭和の映画で見た様な、素朴で飾り気のない、他人を気遣う人間本来の優しさ。
そんな優しさがこの町には溢れていた。
僕らが育った奈良の小さな町にもそれが在った。
本当は横川の満天の星の様にそこら中に在るのかもしれない。
きっと街灯がそれを見にくくしてしまっているだけだろう。
そう思いたい。
こんな時代だからこそ、僕らはきっとそんな優しさを求めている。
さぁ、まだまだ続く全国路上ライブツアー2/47県目、鹿児島編。
次回は「鹿児島中央駅前初路上ライブ」について弟がお伝えします!
ところで、こんな長々と色々書いたけど、結局のところライブした感想は?
そうだなぁ。。。
「とってもたのしかったです!」笑。
【今回のブロガー:兄Kimitaro】