Live at カフェRich / 鹿児島中央駅前路上ライブVol.2


今日も、なんともエスプレッソな1日だった。

鹿児島中央駅前での路上ライブを終え、街灯のない不慣れな夜の山道を中古のHONDAステップワゴンがちんたら走る。

ツアー中は、一日一日が実に”濃い”。

濃過ぎて胃に穴が空きそうなくらい充実している。

弟はそれを鹿児島の焼酎に例えたが、俺はコーヒーに例えてみる。

と言うのも今日は郡山町にある「Rich」と言うカフェでライブだったのだ。

普段はJazzが流れているであろう雪山のロッジ風なお洒落な空間は、ロックと笑い声に埋め尽くされ、本当に贅沢な時間を過ごすことができた。

カフェでのライブ後は鹿児島中央駅へ移動して路上ライブ。

こちらも昨日に引き続き大盛り上がり。

濃いなぁ、実に。

この濃さだとまたブログ長くなってしまいそうだからミルクと砂糖でちょっと薄めるべきか?

はたまたストレートに”ブラック”で綴ってゆくべきか。



1月10日(月・祝)、ツアー5日目。

この日の朝はなかなか布団から出れず、結局昼前までゴロゴロ。

ツアー初日のフェリーでの雑魚寝以来、眠れない夜が続いているのだ。

Sleepless nights。

でも、これはいわゆる「遠足前夜急性不眠症」と言うやつ。

脳が常に興奮状態になってしまっているのだ。

しばらくして、しょっこらよっと布団から立ち上がり、やっと一日を始める。

呆れたお天道様が、「まったくしょうがないねぇ」と言った感じで障子に開いた穴から陽の光を俺に少しおすそ分け。

今日もいい天気だ。

まずは霧島の天然温泉水「関平鉱泉」をコップ一杯胃袋に流し込む。

ゴクゴクゴク。

くぅぅう、うまい!

生ビールの最初の一口と同じリアクション。

なんなら泡ひげができた気分。

部屋の時計をチラッ。

オーマイゴッド、言ってもそんな時間ないじゃん!?(いつものパターン)

空想の泡ひげとガチの髭を整えて、歯を磨いたならレッツラゴー!

ぶぅ〜ん。(おならじゃなくて車の音)


俺らのステイしている横川から南西へ車を走らせ約45分、県道40号線沿いにカフェRichはある。

今日のイベントを共同企画してくれたのは、かれこれ7、8年ほど前に僕らの音楽に出会い、それ以来ずっと応援してくれている方。

今回僕らの全国路上ライブツアーのことを知り、連絡をくれたのだ。

現在鹿児島市内の大学に通っていて、彼女の所属している軽音サークルの方々の協力もあり本日のライブが実現した。

午後1時過ぎ、Richに到着。

雪山のロッジ風なカフェの中では、集まってくれた学生さんたちが既に自前のドラムキットを組み立て始めていた。

事前のやり取りで、一緒に演奏出来たらいいね!みたいな事を話していたのだ。

こんにちは!

いつも通り挨拶と自己紹介をして、俺らも早速セットアップ開始。

※PAはいないので、路上ライブ同様、マイクやギターアンプのボリュームなど一通り自分たちでサウンドチェックを行う。

(※ライブで音響全般の調整や管理を行う人のこと。)

ウッディーな空間が自然なリバーブを生み出し、寝ぼけたCの音ですら心地よくこだまする。

ふとカフェの入り口に目をやると、見覚えぼのある姿が。

その方も僕らをずっと応援してくれている方で、今日は他県から遥々遠征をしてライブを見にきてくれたのだ。

俺ら、愛されてるなぁ。笑

嬉しくて益々気合が入る。

準備を終え、車の中でささっと衣装に着替える。

さーてと、今日も楽しませてもらいますぜ!

【本日のセットリスト】

1 Snake bite / Silent siren

2 Unicorn

3 ツバメ返し

4 Can’t stop(レッチリのカバー)

5 Cube

6 Razor gazer w/ 軽音サークルメンバー

7 Nonkey Kong in the zoo

8 Too dark to live

9 Killing time w/ 軽音サークルメンバー

10 Once in a while

11 ペロレラレボリューション w/軽音サークルメンバー

アンコール

Nonkey Kong in the zoo w/軽音サークルメンバー


カフェと言うこともあり、オーディエンスとの距離も近いので、時折MCを挟んでみんなと交流しつつも、5曲目の「Cube」までほぼノンストップでテンポ良く演奏していく。

6曲目「Razor Gazer」でドラム、カホン、ギターに軽音サークルの学生さんたちを迎えて演奏。

俺はギターの代わりにキーボードを担当。

入りのタイミングだけ軽く合わせ、あとはぶっつけ本番。

究極の無茶振り。笑

にも関わらずみんなバッチリ合わせてくれる。

さすが軽音サークル!

2番の間奏明けで、更なる無茶振り。

ギター→ドラム→カホン

と言う順番でソロ回しを促す。

でもみんな物怖じせずにクールにソロを決めてゆく。

一周したところで歌に戻り、最後のサビを歌い上げてフィナーレ。

思わず勇敢な学生さんたちに俺らが拍手!

パチパチ×100

ちなみに彼らにやらすだけやらしておいて、自分たちはソロをとらないと言う悪いお兄さん達。笑


8曲目「Too dark to live」。

メジャー時代にリリースした楽曲で、2018年にアイルランドでソロ活動をしている時にも現地のパブでよく歌った曲。

ちなみに最初の「Silent siren」とこの曲、そして10曲目の「Once in a while」は今回のイベントを企画してくれたファンの方のリクエスト!


9曲目の「Killing Time」も先程の打楽器隊にカホンとコンガで参加してもらう。

こちらもぶっつけ本番。

想像以上にそれらの打楽器とアコースティックギターの交ざり合った音が心地よく、まるで春風が心を吹いたかの様。

なんだかんだ後半はほぼ一曲おきに学生さんを交えて演奏。

オーディエンスのみんなも手拍子やダンスで参加してくれて、終始楽しい雰囲気のライブとなった。

フェイスシールド越しに見えるついさっきまで初めましてだった顔も今は友の顔。

ギターのワンストロークが僕らを繋げてくれる。

不思議だなぁ。

このツアーをしていなかったらきっと出会っていなかったんだろうな。

改めてこのツアーの意義を感じると共に、こんな素敵な出会いを与えてれるファンの方々に感謝である。

ちなみにこのカフェは、先程カホンを叩いてくれた学生さんのご家族が経営していて、ライブ後には美味しいコーヒーとケーキを出してくれた。

何も知らずパクパクとケーキを食べていると、誰かが「実は今日はカホン君(仮名)の誕生日ですよ!」と教えてくれた。

お祝いもしないで人のバースデーケーキをむさぼる悪いお兄さんたち。笑

慌ててケーキをコーヒーで流し込み、ギターを手に取り”ハッピーバースデー”を歌う。

カホン君、お誕生日おめでとう!!


その後、彼のリクエスト「Nonkey Kong in the zoo」をアンコールとして演奏することに。

彼はこの曲が好きで事前に僕らのYouTubeチャンネル「GoodMoon Sessions」を見てドラムを練習してくれていたのだ。

ドラム、カホン、コンガを交えた5人体制でのノンコン、まるで自分がチンパンジーになってジャングルを駆け抜けているかの様な疾走感だった!

もっとみんなと一緒に演奏したかったが、我らは日が暮れる前に路上ライブへ行かねばならぬ。

最後に全員で記念写真を撮って帰り支度を始める。


去り際、カホン君の小学生の従兄弟が

「僕、GoodMoonの追っかけになろうかな。」

と一言。

「追っかけになったよ!」

じゃなくて

「なろうかな。」ってところがめちゃくちゃチャーミング。笑

余談だが、彼は県内のプログラミング大会で2位らしく、最初に会話をした時から頭の回転がめちゃくちゃ速い子だなぁ、と感心していた。

そしてライブ中も僕らのMCに面白おかしく返答してくれたり、Tomojiroがふざけて、「これから道路交通法違反しに行きます!」と言ったのに対し、「道路交通法違反がんばって来てください!」と返してきたりと、その天才ぶりを発揮していた。笑


名残惜しくもみんなに別れを告げ、悪いお兄さんたちは道路交通法違反をしに鹿児島中央駅へ出発。




ぶぅ〜ん。




今日の朝、渋々俺に陽の光をおすそ分けしてくれたお天道様も、路上ライブの準備が終わる頃にはいなくなってしまった。

「まったくしょうがないな〜。」


なんだかんだ、演奏を始めたのは6時頃。

明日は平日ということもあり人通りは少なめ。

ただ、先程のRichでのライブでばっちり元気をチャージできたので、今日もうまくいきそうな気がしてる。

まずは一曲目「Contrast」を演奏してみる。

すると思ってた以上の人々が足を止めてくれる。

続いて「Unicorn」。

これがオーディエンスの中にいた数人の新成人たちにビンゴだったらしく、彼らはその後消えてはまた現れを何度か繰り返し、最終的に群れをなして戻って来ることとなる。笑


路上ライブでKeyとなるのは、どれだけ自分たちが演奏を楽しめるか。

人を止める為に演奏する時ほど、人が止まらない時はない。

この日はなんだか楽しくて、人通りが少ない割には足を止めてくれる人が多く、時間はあっという間に過ぎていった。

しばらくすると先程の新成人が群れをなして戻って来た。笑

そして昨日の路上ライブ同様、俺らの目の前でダンス大会が始まる。

若さ溢れる新成人たちの舞。

いい、すごくいい。

老若男女問わず人々が自由に自分たちを表現するこの鹿児島の県民性、大好き。

結局最後は駅前の警備員に止められてしまったものの、集まってくれたオーディエンスのおかげで本当に楽しい路上ライブをすることができた。

みんな、本当にありがとう!!


ライブ後、地元の人が教えてくれたオススメの焼き鳥屋で、しこたま焼かれた鳥を買って帰路に立つ。

ぶぅ〜ん。

今日も、なんともエスプレッソな1日だった。

鹿児島中央駅前での路上ライブを終え、街灯のない不慣れな夜の山道を中古のHONDAステップワゴンがちんたら走る。

ただ、エスプレッソの様に濃い1日ではあったものの、そのカフェインは「遠足前夜急性不眠症」を患っている俺には足らず、重いまぶたをこじ開けるのに必死だ。

明日くらいはボケェ〜っと、何もせずにアメリカンコーヒーな一日でも過ごそうかしら。

【今回のブロガー:兄Kimitaro】

鹿児島中央駅前初路上ライブ

「明日は早く起きて横川の街を散歩するぞ!」

なぜ人は出来ないと分かってることを何度も口にするのだろう

目が覚めて時計を見るともう10時過ぎ。。。陽はとうに登っている

もはや驚きはない。

それよりも驚きなのは二日酔いがないことだ。

二日酔いがないどころかむしろ体もすこぶる調子が良い気がする!


昨日の夜は結構飲んだ。

今回の大隅横川駅でのライブの開催の為、色々動いてくれた地元の人たちと共にイベントの成功を祝い美味しい焼酎を飲み交わした。

こっちに来るまで焼酎をそんなに飲むことはなかったが

やはり本場で飲む焼酎はうまい。

そして鹿児島男児、よく飲む。(男児というかおじ様たち笑)

こっちも負けまいとグラスを飲み干すと待ってましたとばかりに次の焼酎が注がれる。

そして何よりみんな愉快だ。

よく笑う。

お酒飲んでるから楽しい、以上の楽しさがある。

子どもの頃、クラスの一番の仲良したちと遊んでる時みたいな

何をするから楽しい、じゃなくて一緒にいるから楽しい

みたいな感覚。

初めて来た場所なのに旧友に会ったかのように懐かしく、温かな感覚を確かに感じた。



そんな訳で早くは起きれなかったが

清々しい気分で目が覚めた。

さて、今日は鹿児島で初となる路上ライブをしに行く日だ!

支度を終え、いざ出発。

向かうは横川から下道で1時間ちょい離れた所にある鹿児島中央駅だ。

鹿児島に来て気づいたことは結構山道が多いことだ。

海のイメージが強かったのでこれは意外だった。

そして霧島の山道を抜けるとついに海が見えた

「あーっ、桜島!!!!」

東名高速で富士山が顔を出した時と同じようなテンションで写真を撮る。

眺めのいい海沿いの道を通って市街地に入る。

路面電車の走る新旧入り混じった雰囲気のある街並みだ。

「普通に街歩きしたいな~」なんて思っていながら外を眺めていると観覧車を背中に携えた大きな駅が見えてきた!

これが鹿児島中央駅か!

時刻は14:00過ぎ。

スポットを決めて路上ライブの準備!

東急ハンズのロゴの指が完全に俺らを指してる

前回のスポンサー「成城石井」に続き今回はどうやら東急ハンズが鹿児島ツアーのスポンサーになってくれる見たいだ笑

俺らの音楽は鹿児島中央駅前でどのように響くのか

いざ演奏を始める。

すると最初に立ち止まって聴いてくれたのはダンスをやっている女の子とそのお父さんだった。

どうやら今日は駅前の広場でダンス大会が行われているらしい。

そして演奏を続けているとおじさんが一人踊り出した。

するとまた別のおじさんも踊り出す

周りの観衆の目など気にせずノリノリで独自のダンスを繰り広げるおじさんズ

演奏しながらむしろこっちが呆気にとられる。

鹿児島に来てから感じていたのだが

こっちのおじさんたちめっちゃ元気じゃね?

聞くところによると一人はこの辺では有名なダンスおじさんらしい。

おじさんと言ってしまったが見た目はシュッとした確かにダンスをやってそうなおじ様だ。

そんな感じで路上ダンスパーティを交えつつ徐々に立ち止まって聴いてくれる人も増えてきた。

途中一度休憩を挟んで後半戦へ。

夕方になると駅前広場でのダンスイベントも終わり、イベント参加者たちが流れてきた。

この日の路上ライブは終始ダンスとの共演だったと言っても過言ではない。

中でも印象的だったのがなんとその日行われていたダンスイベントの優勝者、そしてちびっ子姉弟ダンサーたちとコラボしたことだった。

ちゃんと動きが既にダンサーなのだ

恐らくまだ靴紐の結び方もやっと覚えられたか覚えられないかくらいの子どもが

キレキレの大人ダンサーと交じってフリースタイルダンスを繰り広げていく

やっぱりこれくらいの子どものマネる能力は最強だよな

と思いながらこっそり新曲のリフでタローとダンスフロアと化した駅前を盛り上げる。

路上ライブをやってると何だか予想もしてなかったことが色々あるな~

夜8時になり、人通りも少なくなってきたところでこの日の路上ライブを終えた。

なんだかんだ昼下がりから始めて気づけば結構長い間やっていた。

CDも沢山の人が買ってくれたし色んな出会いがあったし心は満足だ。

だがしかし腹が減った。

路上ライブを終えると次に考えることはまず何を食うかだ。

そりゃもう決まってる

ラーメンでしょ!

地元の人々からのオススメを元に南香ラーメンに決めた!

写真を見てるだけでまたお腹空いてきた〜

「うんまっ!!!!」

軟骨付きのお肉が贅沢に使用された、ボリューミー且つしつこさの無い至福の一杯だった。

腹一杯食べてあとは風呂入って寝るだけ

空き家のシャワーが使えないので帰り道に温泉に寄ってひと風呂浴びることにした。

ここで風呂入るだけで終わらないのが今回のツアーのすごいところだ。

最高に気持ちいい気分で温泉から上がって脱衣所で着替えていると

隣で着替えていた少年が

「そのズボンかっこいいっすね、どこで買ったんすか?」

と話しかけてきた。

普段、半裸の状態で他人に話しかけられることはないので一瞬たじろぎつつ

東京で買ったと言う話のついでにコレコレこう言う経緯でいま鹿児島でツアーしていると話すと

ビックリした表情を浮かべながらも興味を持ってくれて

その場でインスタをフォロー、メッセージまでしてくれた!

彼はスケボーをしているらしい!頑張ってくれ!!


それにしても最後の最後までイベントフルな1日だった!

最後の一滴まで濃いんだけど翌日気分はスッキリ

まさに鹿児島の焼酎のようだ(←無理やり)

こちらが鹿児島の漢の飲み物、黒伊佐錦。

【今回のブロガー:弟Tomojiro】

大隅横川駅前コンサート

2022年の幕開けと共に始まったGoodMoon全国路上ライブツアー2/47県目、鹿児島編。

1月6日〜15日までの10日間に及ぶツアーの記憶を皆さんにお届けしていこうと思います!

GoodMoon全国路上ライブツアー、鹿児島編

「先生あのね、先しゅうぼくは弟といっしょに、はじめてかごしまにライブをしに行きました。とってもたのしかったです。」



The END。



さすがにこれだとブーイングが起こる。

でも小学1年生が書きそうな日記は、至って簡潔で的を射ている。

それでいてちゃんと5W1Hで構成されている。

スバラシい。

なのに大人になった僕らはわざわざそれを細かく分解して、妙に凝った表現を試みる。
“大人ぶって〜生きてくんだぁ〜” ( Nonkey Kong In The Zoo by GoodMoon )

この「とってもたのしかったです。」に全てが要約されていると言っても過言ではないけど、34歳だしもうちょっと頑張ってみようよ。

前回の山梨ツアー同様、この旅の感動を読者の方々にもちゃんと届けたいし。


鹿児島と聞くとみんな何を思い浮かべるんだろう。

自分の場合最初にパッと思い浮かべたのがパノラマな自然だった。

実際僕らが最初にステイした横川と言う町には、360度どこを見渡しても本当に美しい自然が広がっていた。

丸岡公園から望む霧島連山。

街灯のない真っ暗闇で見る満天の星。

神秘的な火口湖、大浪の池、

エトセトラ。


それらの景色は本当にダイナミックで感動的だった。

ただ、今回の旅のテーマはそんな瞳が表面的に捉えたものだけではない気がしてる。

目には見えなかったけど、そこに在って、ツアー中幾度となくこの心を揺さぶった”モノ”は一体なんだったんだろう。

それこそがこの鹿児島ツアーのテーマになりそうだ。



2022年1月8日、土曜日。

鹿児島県霧島市にある大隈横川と言う県内最古の駅でのライブ当日。

100年以上の歴史を持つこの無人駅には、レトロな黒い車体の特急「はやとの風」が走る。

木造の駅舎は、アップライトピアノがあったりと、一見お洒落なカフェの様でもある。

駅前は広々としていて、改札を出た右側には遊歩道の通る小さな公園もある。

昨日、初めてここを訪れた時に地元の方がこう教えてくれた。

「ここでは毎年平和コンサートが開かれるんだよ。」

「え?」

実はこの駅の柱には第二次世界大戦中に機銃掃射で撃ち抜かれた痕跡が今も生々しく残っているのだ。

光と影。

激動の時代をたくましく生き抜いてきたこの駅は、横川の人々の誇りとなり、そしてきっと彼らの心を一つに繋ぐ存在なんだろう、と感じた。



午前10時半、会場入り。

宿泊している空き家からは車でたった30秒の距離。

(↓ちなみにこれがそのHotel A・Kiya)

駅前で出迎えてくれた手作りの大きな門松が、俺の脳内で今年二度目の除夜の鐘を鳴らす。

ゴ〜〜〜ン。

「明けましておめでとう!」

そうだった、そうだった、新年だった;ドタバタでそんなことすっかり忘れてたよ;


小雨の降る中、すでにキッチンカーが数台並び、なんだかフェスの様。

機材を車から下ろし、早速準備開始。

テキパキ。

ちなみにこの駅前コンサートは、既存のイベントに参加すると言うものではなく、ゼロから僕たちGoodMoonの為に企画して頂いたものなのだ。

今回鹿児島ツアーを全力でサポートしてくれた横川出身のファンの方が、僕らに大隅横川駅でのライブを提案してくれて、その方のご親族や役所の方々、そして横川の人々の熱き協力の下、今回のライブが実現したのだ。

まさに夢の様な話である。

どこぞの誰かもわからない僕らを、歓迎してくれる横川の人々の寛大さ。

本当に贅沢なことだし、感謝してもしきれない。

ならば最高の演奏をみんなに届けよう。

今日は老若男女問わず、幅広い層のオーディエンスが来てくれるとのことなので、なるべくバラエティーに富んだセットリスト作りを意識した。


駅前にはちらほらと人々が集まりだす。

薄く広がっていた雲の切れ間からは、青空が恥ずかしそうに顔を覗かせる。


準備完了。

さてと、横川でいっちょやらかすか!

【第一部 (11:45 – 12:30)】

1 Unicorn
2 Can’t stop
3 Cube
4 Once in a while
5 Nonkey kong in the zoo
6 Nono
7 Snake bite / Silent siren


午前11時45分、遂にライブスタート!!

「どうもこんばんは、GoodMoonです!!」


早速間違える。


”こんにちは”でもちょっとまだ早い気がするけど、確実に言えることは”こんばんは”ではない。

まずはロックなギターと二人のハーモニーのバランスの良い出だしの3曲で、会場に漂う緊張感をほぐしていく。

肺に流れ込む空気がいちいちうまい。


そして4曲目の「Once in a while」、通称「タラリラ」でグイッとオーディエンスとの距離を縮める。

このご時世みんなで大合唱できないのが悔しいが、その分みんな懸命に体を使って「楽しんでるよ〜」と表現してくれる。

サビのタラリラ〜の部分でオーディエンスのみんなが楽しそうに大きく腕を横に振る。

右、左、右、左。

朝、駅前、足並みを揃えて大きく腕を振る人々。

ロケーションと相まってなぜかそれが”ラジオ体操”に見えてくる。

みんな一生懸命盛り上げてくれているのに、なんと言うことを!笑

演奏後はそんな感じの冗談を交えたゆる〜いトークで笑いを誘う。


最後は「Snake bite / Silent siren」でバシッときめて第一部を終える。

まずは横川ピーポーと仲良くなることに成功したぞ!

次のセットまでの間、キッチンカーの美味しい薬膳スパイスカレー&リゾットとタコスを頂く。

うまい、うまい、いちいちうまい。

【第二部 (13:30 – 14:15)】

1 ツバメ返し
2 Once in a while
3 ここにないもの
4 大人の運動会
5 All in your head
6 Killing time
7 ペロレラレボリューション


第二部は久々にセットリストに返り咲いた「ツバメ返し」で幕を開ける。

この曲は、2012年の欧州遠征中に出来た曲で今年でちょうど10歳を迎える。

Happy Birth Day Bro!

後半に向けどんどん加速していくタイプの曲で、若かりし頃はこの曲のおかげで何度ライブ中に流血したことだろうか。笑

「筋トレするならツバメ返しを弾け!」と言うことわざがあるくらい、この曲は体全身で弾く、いわば体育会系楽曲なのである。

ただ今回は血を流すことなく無傷で演奏し終えることができた。笑


4曲目の「大人の運動会」もわりと流血系楽曲(笑)なのだが、この曲の醍醐味はその手拍子にある。

と言うのも、捻くれ者の兄弟はこの曲の制作時、意地でも普通の手拍子をさせたくないと言う理由でヘンテコなリズムの手拍子を開発したのだ。

既に習得してくれているファンも多いけど、初めましての方にはやはりややこしい。

時々、曲に入る前にみんなで手拍子の練習をするのだが、そこで

「ストップ、ストップ、グダグダやないかいっ!」

的なツッコミを入れて笑いを取るのが楽しみの一つ。(性格わるぅー!笑)

今日もいつも通りそうなるだろうと思っていた・・・

が、

うんたた・・った・・・た

えぇっっっつ?!

なぜか、何故だかわからないが9割方初めましてのオーディエンスからほぼパーフェクトな手拍子が返ってくる。

え、マジでなんで?

アタフタ。

本来喜ぶべきことなのに、動揺したのち、むしろ悔しさが込み上げてくる。笑

ならばと、負けず嫌いの俺らはオーディエンスに挑戦上を叩きつける。

Tomojiroにキックで4拍子を刻んでもらいながら、俺が即興でややこしいリズムの手拍子をする。

「これできますか?」

パンパパンパンパパンパンンパッ

(オーディエンス)

パンパパンパンパパンパンンパッ


「こ、これはどうですか?」

パパンパンパンパンパパパパパパパパパパンンパッ

(オーディエンス)

パパンパンパンパンパパパパパパパパパパンンパッ

「・・・ちょっとまって、えっと、えっと、これはどうですか?」

ンパッパッパパパンパンパパンパパン

(オーディエンス)

ンパッパッパパパンパンパパンパパン

・・・参りました。

GoodMoon完敗。笑

裏でリズムを取ったり、16分休符もふんだんに入れたのに。。。

どうやら横川、もしくは鹿児島の人々はリズム感がめちゃくちゃいいらしい!!

I don’t know why!!

ドラマーを探すなら是非鹿児島にケ!(さりげなく鹿児島弁)

何はともあれこの手拍子バトルでまた一歩オーディエンスのみんなと仲良くなれた。


第二部も後半に差し掛かった頃、ふと自分の顔の左半分がほてっていることに気づく。

日差しが暑い。

朝方はむしろ横川の方が寒く感じられるけど、お昼を過ぎるとやはり東京より幾分暑い。

小春日和と言えなくもない。

ガッツリと直射日光に焼かれてく左半分。

最後にペロレラ・レボリューションを演奏して第二部終了!

ライブ後、物販にはCDや缶バッチを求めて列ができる。

数年前から僕らのファンで今日は遠征して見に来てくれたと言う方もいたり、ハッピーボルテージが気温と共にどんどん上昇していく。

第三部 (14:45 – 15:30)

1 Snake bite / Silent siren
2 ツバメ返し
3 こわ風
4 Last tear of a dictator 
5 太陽の血
6 Nono
7 記憶
8 乾杯
9 Once in a while

アンコール

10 Push the limits


第三部目ともなればだいぶ緊張感もほぐれ、いい感じに会場全体に一体感が生まれている。

泣いても笑ってもこれが大隅横川駅での最後のセット、カッコよくバシッと決めよう。

1、2曲とテンポ感よくタイトな演奏で攻めまくり、3曲目でガラッと雰囲気を変えてスムーズに「強風」。

そして4曲目で「Last tear of a dictator」。

遠征前、自然に囲まれた大隅横川駅をイメージした時に、リバーブのかかったこの曲がすごく似合いそうだね!と言う話になりセットリストに加えられた。

思った通りのどかな景色とマッチして、アルペジオが心地よく澄んだ空気に溶けてゆく。


5、6曲目は自分たちのこれまでの長きに渡る「音楽の旅」をテーマに作った楽曲。

どこまでも、この旅は続いてゆくよ〜 / 宝箱 掘り起こすより埋めるのさ 見つけてきた思い出詰めて〜」(Nono by GoodMoon)

まだ全国路上ライブツアーは始まったばかりだけど、いく先々で数え切れないほど沢山の素敵な出会いや感動を見つける。

この旅は誰かの埋めた宝箱を探しに行くものではなく、大きな空き箱に自分たちが各地で見つけた宝を詰め込んでいく、そんな旅なんだなとつくづく感じた。


8曲目、「乾杯」。

事前情報によると、長渕剛、通称”つよっさん”は鹿児島出身の方らしく、現地には根強いつよっさんファンが沢山いるとのことだったので、ちょうど成人式も近いのでカバーすることに。

下手に演奏したら暴動が起きかねない。笑

ばっちりリハーサルでハモリを合わせておいた二人。

ただ熱狂したつよっさんファンにマイクをハイジャックされる可能性もある、そう覚悟して歌ったが、終始みんなキラキラした笑顔で穏やかに僕らの演奏を見守ってくれた。

チェア〜ズ!
(このチェア〜ズに関してはまた次回何のことだか詳しく説明します。笑)

最後に三部連続で演奏した「タラリラ」でフィナーレを迎える。

先ほどのラジオ体操第一は、さらに激しさを増し、ここではラジオ体操第二に進化していた。

みんなで飛び跳ねたり、手拍子したり、フリースタイルでGo Go GO!

そして最後に定番のジャンプでジャーンジャカジャーンッ!

「どうもありがとう、GoodMoonでした!!」

パチパチパチ

無事に三部の演奏を終える。

よし、これで今夜も美味しく黒伊佐錦のお湯割を飲めるぞ!笑

と思いきや

アンコール アンコール


てっきりアンコールはないと思っていたので、慌ててギターのチューニングを戻しながら、急な思いつきで弟にミスチルの桜井さんの物真似をする様に促す。

桜井さん本人から電話がかかってきた的な、よく訳の分からないチープな演出を加える。

ミスチルの「Hero」を桜井エフェクターを噛ませて歌い始める弟。

そっくりやん!笑

会場からは歓声が上がる。

多分今回のライブでここが1番盛り上がったのではないだろうか。笑

その後桜井さんは、特急はやとの風に乗り去っていき、俺らは最後に「Push the limits」を演奏し三部に渡るロングセットを締めくくる。

このライブを一緒になって盛り上げてくれた皆さん、そしてイベントを実現する為に協力してくれた皆さん、本当にありがとう!!

左半分黒くなった俺の顔に吹くひんやりとした風。

気付けばもう夕暮れの時間。

お茶を販売していたキッチンカーの方が、最後にお汁粉をみんなに配ってくれた。

「え、いいんですか?」

心がじ〜んと温まる。


なんとなく、ここまでブログを書いて”目には見えなかったけどそこに在ったモノ”の正体に気づき始める。

その答え合わせをする前に、もう一つ話し忘れたリトルストーリーが。

この日、ライブの準備中にTomojiroがネジの壊れた持参のマイクスタンドをガムテープでなんとか固定しようと奮闘していると、地元の音楽をやられている方がマイクスタンドをさっと差し出してくれた。

困っている姿を見て彼はわざわざそれを家から持ってきてくれたらしい。

そしてライブ後に

「あのマイクスタンドは貰ってください、武道館かどこかで演奏する時にでも使ってもらえれば幸いです。」

との連絡を頂いた。

・・・。

いや、必ず東京ドームのステージのど真ん中で使わせて頂きます!!


もう答え合わせする必要もないかもしれないけど、この旅の間、目には見えなかったけど、ずっとそこに在って、この心を揺さぶり続けていたモノ。

わかった気がする。

それはいつか昭和の映画で見た様な、素朴で飾り気のない、他人を気遣う人間本来の優しさ。

そんな優しさがこの町には溢れていた。

僕らが育った奈良の小さな町にもそれが在った。

本当は横川の満天の星の様にそこら中に在るのかもしれない。

きっと街灯がそれを見にくくしてしまっているだけだろう。

そう思いたい。

こんな時代だからこそ、僕らはきっとそんな優しさを求めている。

え、真冬になんで川遊び?笑

さぁ、まだまだ続く全国路上ライブツアー2/47県目、鹿児島編。

次回は「鹿児島中央駅前初路上ライブ」について弟がお伝えします!



ところで、こんな長々と色々書いたけど、結局のところライブした感想は?


そうだなぁ。。。


「とってもたのしかったです!」笑。




【今回のブロガー:兄Kimitaro】