甲斐清和高校スペシャルライブ

タイトル:弾け合う光の粒
甲斐清和高校でのスペシャルライブの楽しい雰囲気を絵にしてみました!


ツアー3日目、甲府市内のホテルで目を覚ます。

予報では雨だったが、なんとかまだ持ちこたえている。
けな気に雨男の登場でも待っているのだろうか。

大体こう言うツアー先では

「明日は早く起きて観光しよう!」

とか

「朝一ジョギングに行こうぜ!」

と言った半信半疑な決意表明をし合って眠りにつく。

が、9割方その決意は忘却の彼方へ葬られる。

今回に限ってはそもそも最初からアラームすらかけていない。

むしろ二日間のそこそこハードなスケジュールを言い訳に兄弟そろって寝倒す。笑

さて、今日は待ちに待った甲斐清和(かいせいか)高校でのスペシャルライブだ。

この高校は県内で唯一音楽科のある高校らしく、今日集まってくれる生徒さんたちも音楽科の子が多いとのこと。(嬉しいことに本番は他学科の生徒さん達も来てくれました!)

多分みんな英才教育を受けていて絶対音感のあるプロディジー(天才)たちなんだろう、と勝手な想像を巡らせる。

「そこの音、フラットしてませんか?」

とか言われたりして。笑

そんなことを考えては、高校での初ライブでただでさえ緊張している自分にわざわざ余計なプレッシャーをかけてみる。

ただ、音楽に学歴も年齢も国境もへったくれもない。

最終的に大事なのは、やはり気持ちである。

全力でライブを楽しんだなら、そこにはいつも笑顔がある。

演者とオーディンスが一体となってお互いハッピーな気持ちを引き出し合う。

それこそがライブと言うものだ。

今日も気負うことなくありのままの自分たちの音を届けよう。

よしっ!!!


そう気合を入れてチラっと横を見ると、しなびたたくわんの様な顔をしてノコノコとベッドから起き上がる弟の姿。

・・・。

昼間はイケメンなんだが。
きっとイケメンをパートタイムでやっているのだろう。

ヒュゥゥゥゥ〜〜〜(空気の抜ける音)

あぁ、また気合を入れ直さなきゃ。笑



結局ホテルを出たのはお昼を過ぎてから。

16時半の集合時間まで、お弁当でも買って舞鶴城公園にでも行ってみよう。


すると


ポツポツポツ・・・

待ってました!

とばかりに降り出す雨。

あぁ、なるほど、俺らを待っていたのね君は。(GoodMoon雨男説)


ならば、モスバーガーに行こう。(なぜ?笑)

ほうとうが有名な甲府で、モスバーガーを食べながらセットリストを考える兄弟。


色々試行錯誤した後、下記のセトリが完成。

1 Can’t stop (レッチリの曲を自分たち風にリアレンジしたやつ)
2 Silent siren
3 Unicorn
4 ペロレラ・レボリューション
5 All in your head
6 Killing time
7 Once in a while

45分間、全7曲。

なかなかボリューミーである。


セトリも完成し、山梨の名物モスバーガーで腹も満たされ準備完了。笑

一度ホテルに戻り、ふやけたたくわんと山籠り3年目みたいなヒゲ面をシャワーで洗い流し、衣装に着替え、荷物を車に積み込み込んだなら、いざ甲斐清和高校へ出陣!


ホテルから高校までは法定速度を守って12、3分くらい。

X JapanのYoshikiさんなら2、3分。


高校に着くなり早速搬入開始。

入り口付近で学生たちの元気そうな声が聞こえる。

うわぁ、この感じ、懐かしい。

そしてなぜか妙に「先生に見つかったらヤバいっ!」みたいな感覚が戻ってくる。笑

アタフタ。


まずは入り口で出迎えてくれた生徒さんたち、今回のツアーを全力でサポートしてくれている甲府のファンの方とそのご家族、そして今回この突拍子もない高校でのロックライブを快く引き受けてくださった素晴らしき先生に挨拶をする。


「こんにちは、初めましてGoodMoonです!本日は是非よろしくお願い致します!」


雨の中、機材を車から降ろす。

元気な少年たちがテキパキとそれを階段で3階の音楽室まで運んでくれる。

終始楽しそうに。

なんか、もう、なんて素敵な生徒さんたちなんだ。(お父さんの気分。笑)


音楽室は思いの外大きくて、ちゃんとステージもある!

フロアーに並べられた、思っていた以上の数の椅子。

そしてなぜか急に窓から入り込んで来た鳥。(これマジ。笑)


セッティングからライブまでそんなに時間がないので、俺らも生徒にならってテキパキと準備をする。

用意されたステージなら、傷のないスピーカー、折れ曲がっていないマイクスタンド、色の揃ったタコ足。

メジャーの頃、そんなステージですらありがたみを感じられなかった時期もあったなぁ。

常に焦燥感に駆られ、「俺らはもっとでかく、もっとビッグにならなきゃ。」

と、いつももがいていた。

でも今またこうやって一から弟と二人で作り上げていくステージ。

路上ライブで使い古された機材にも愛着が沸く。

ハチャメチャだった自分を恨むことは、もうあまりしない。

それよりも、今もなお一緒に夢を追ってくれる相方、そしてファンの方々に改めて感謝してこの日々を噛みしめる。

今なら絶対逃げ出さない。



おいっ!

しんみりと回想にふけてる場合じゃないぞ、自分!

準備が終わったならさっさと楽屋でストレッチして、かっこいいライブをかましてこい!

Go Go Go!



パチパチパチ。

隣の部屋から生徒さんたちの拍手が聞こえる。

「よし、いくべ!」



一曲目、Can’t stop。


天井の高い部屋の自然なリバーブが心地よい。

トモジロウのギターのタッピングと、俺のチキンピッキングの弦の音が絡まり、そこに兄弟ハーモニーが乗る。

まずは空気中に流れる緊張感をこの曲でほぐし、生徒さんたちとの距離を縮める。


そして2曲目、Silent siren。

ギター2本、声2つ、キックドラム1つの定番曲。

これまで国内外問わず、色々な場所の色々なフェスや路上で何千万回も演奏した曲。

冗談抜きに寝ながらでも弾ける。笑


「やれなんだ〜それがどうした〜」

のサビメロの弾き語りから始める。

イントロに入ったところで手拍子を煽る。

すると今まで聞いたことのないような安定感のある重厚な手拍子が返ってくる。

ぬぉぉぉぉおお!!なんだこのど迫力な手拍子は!!

自然なリバーブが更にそれを際立たせる。


これがプロディジーたちが繰り出す必殺技か?!


正直言おう。

若干動揺してしまった。笑


と言うかあまりのパワフルな手拍子に寝てても弾けるはずのギターのフレーズが一瞬飛びそうになった。

これが若さと言うものか!(圧巻である)


3曲目、Unicorn

この曲は変拍子の為、大抵の場合は手拍子を煽っても途中で途切れる。

が、引き続きこの曲も一切リズムがズレることなく必殺技が音楽室を埋め尽くす。


4曲目、ペロレラ・レボリューション

この時点で、このリズム感、間違いなくタンバリンを叩かせたら面白くなると確信。笑

タンバリン奏者を募る。

音楽科の校舎なのでもちろん数人分のタンバリンがある。

それどころかマラカスまである。笑


俺側にタンバリンとマラカス奏者、トモジロウ側に二人のタンバリン奏者。

めっちゃ健全なSlipknotって感じのスタイル。笑
(アメリカの9人編成のメタルコアバンドでライブ時にドラム缶を激しく叩いたりする。)

簡単なリハーサルを行い、いざ本番!


「1、2、3、4」

メインのイントロに入った瞬間、一斉にタンバリン×3、マラカス×1、手拍子×数十人分が鳴り響く。

カオスやっ!!!!笑


最高。


最高に楽しすぎて、久々に歌いながら自然と笑みがこぼれてしまった。
(このライブの模様を僕らのYouTubeにVlogとしてアップしました!)

Radioheadとか”実験的”と言う言葉の似合うバンドがドラムを二台取り入れてライブしたりとかあるけど、タンバリン×3、マラカス×1、手拍子×数十人分って斬新過ぎないか?笑

生徒のみんなも、この分けのわからぬ「ペロレラ」と言う言葉を心の中で一緒に歌い、そして楽しそうに体を揺らし、自由に喜びを表現していた。

最後は打楽器隊のみんなと共にジャンプしてジャカジャ〜〜〜ンッ!



場内からは笑い声、そして歓声が沸き起こる。

幸せすぎ。


5曲目は、簡単にMCをし、落ち着きを取り戻してからAll in your head。

歌いながらみんなの顔を見渡してみる。

目の前に座って僕らの音楽を一生懸命聴いてくれている彼らの瞳の輝き。

純粋さと希望でいっぱいだ。

きっと彼らには彼らなりの悩みだっていっぱいあるし、もう子供ではない。

でも、本当にビックリするくらい素直な瞳からは、なんと言うかすごくポジティブな光の粒が放たれていて、自分の中にある”何か”とそれが強く共鳴し合うのを感じる。


6曲目のKilling timeも、ずっとその光の粒に包まれながら心地よく演奏した。

このブログの最初の絵は、そのポジティブなエネルギーにインスピレーションを受けて描いたもの。

どうか、その輝きをなくさないで欲しい。

と言うか、なくさないでいられる世界にしていかないとな。

と切に思った。



そして、今回のこのスペシャルライブを締めくくる最後の曲は、Once in a while。

いつもなら、イントロ前の序章部分で「Wow Yeah yeah〜」とみんなで大合唱なんだが、今はまだコロナのことがあるから我慢。

4年後、東京ドームでライブする時にまた一緒に大合唱しよう。

ペロレラの次はタラリラ〜と歌い、作曲を勉強している学生さんたちは

「作曲はこんな自由でいいのか?」

と疑問を持ったかも知れない。


いいのです。笑


全7曲を歌いきり、ジャ〜ンジャカジャンッ!



もう心が幸せで破裂しそう。

ごちそうさまです!!


と思いきや、まさかのアンコール!


よし、最後はまたあのリズム隊を交えてフィナーレだ。

アップテンポなやつでいこう。


カナダで活動していた時にTOYOTA GAZOO RacingのCM曲としてオファーを頂き書いた曲

「Push The Limits (for better)」を演奏。

さっきに増してタンバリン、マラカスの演奏技術に磨きがかかっているのは気のせいか?!

既に楽しい〜と言うより普通にカッコエエ!みたいなバンドとしての一体感が生まれてる!


よし、新バンド「GoodMoonと甲斐清和高校打楽器隊の愉快な仲間たち」結成だ。笑


あぁ、こんな素晴らしい経験はなかなかさせて貰えない。
改めて、今回このライブを企画してくれたファンの方、そして甲斐清和高校の先生方に大感謝である。

そしてそして、僕らの音楽を全力で楽しんでくれた生徒の皆さん

本当に、ほんとーーーにありがとう!!


ライブ後、質疑応答があり、生徒さんからの質問にしなびたたくわんと山籠り三年目のヒゲ面が一丁前にアドバイスをする。

偉そうなことは全く言えないけど、自分自身も20代の頃、道しるべになる誰かの言葉を求めていた。

だから丁寧に、正直に、自分たちの経験に沿ってアドバイス、と言うよりは必要な時にどこにでも持ち運べるポケットサイズの言葉を伝えた。


質疑応答も無事に終わり、最後に花束まで貰う。

もうこれ以上優しくしないでください。笑

帰りたくなくなっちゃうので。笑


その夜、夕食を終え、心も胃袋も満腹な兄弟二人は舞鶴城公園へ。


そもそも朝一のジョギングなんかより夜の散歩の方が数倍気持ちいい。
(懲りぬ言い訳。)


天守台から甲府盆地を一望する。

夜の風に瞬く光。

あぁ、綺麗だなぁ。



今まさに始まったこの旅の先に、ずっと探してきた答えがある気がしてる。


あの生徒たちの瞳から放たれる光の粒は、きっとこの胸の中にまだいる、幼き頃の自分のそれと弾け合ったのだろう。


今回のブロガー:兄キミタロウ